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Eコマース

カナダから日本向け越境EC:関税・消費税と2028年の少額輸入貨物ルール変更

カナダのECサイトから日本へ商品を送る際の関税・消費税の現行ルール、2028年4月1日からの販売時課税への変更点、CBSAの輸出申告、日本の消費者向けストアで準備すべき項目を解説します。

著者:Jayson Hao7 分で読めます
カナダから日本向け越境EC:関税・消費税と2028年の少額輸入貨物ルール変更をテーマにした紙と金属のエディトリアル作品
エディトリアル・フィールドノートITL / № 21

この記事のポイント

  • 2028年3月31日までは、個人使用貨物の課税価格は海外小売価格の6割とされるため、約16,666円までの商品が1万円以下の免税の対象になります。
  • 2028年4月1日からは、海外から通信販売される1万円以下の商品が販売時に課税されます。基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は免税です。
  • 対象となる取引額が50億円を超えるプラットフォーム事業者は、そのプラットフォーム経由の販売について消費税の納税義務を負います。
  • 日本の消費者は特定商取引法に基づく表記と明確な返品条件を確認します。返品特約の表示がなければ、通信販売の購入者は8日以内に返品できます。

カナダのECサイトから日本へ直接販売できるのか

可能です。日本の税制はまさにこうした小口の荷物を前提に動いています。財務省によると、2024年の輸入許可件数は約1.9億件で、その約9割が課税価格の合計額1万円以下の少額貨物でした。カナダのECサイトから日本の消費者への注文の多くは、この区分に入ります。

ただし、このルールは変わります。日本では2026年3月31日に改正法が成立し、2028年4月1日から少額貨物に対する消費税が「輸入時」ではなく「販売時」に課税される仕組みになります。これから日本向け販売を始めるカナダの事業者は、現行ルールではなく2028年以降のルールを前提に価格設定、チェックアウト、税務登録を設計すべきです。

現在の「課税価格1万円以下」免税の仕組み

税関は、課税価格の合計額が1万円以下の貨物について関税と消費税を免除しています。酒税やたばこ税は免除されません。判定は1申告ごと(郵便物は1包装ごと)に行われ、同一差出人から同一名宛人へ同一時期に分割して送られたものは合算されるため、注文を分けても基準は回避できません。

課税価格の計算方法は購入者によって異なります。個人が自分で使うために輸入する貨物は海外小売価格に0.6を掛けた額となるため、販売価格16,666円までの商品が免税の対象になってきました。それ以外の貨物は、商品価格に運送費と保険料を加えた額となるため、送料も1万円の判定に含まれます。

免税の対象外となる品目もあります。税関は革製のバッグ・ハンドバッグ・手袋、Tシャツやセーターなどのニット製衣類、スキー靴、革靴などを挙げています。1万円超20万円以下の貨物には7区分の簡易税率が適用される品目が多く、例えばニット以外の衣類は10%、プラスチック製品・ガラス製品・家具は3%、その他は5%で、これとは別に消費税がかかります。

2028年4月1日から何が変わるのか

財務省の令和8年度税制改正の解説によると、新制度は豪州方式に近い仕組みです。海外から日本へ通信販売で発送される1個あたり1万円以下の商品の販売(特定少額資産の譲渡)は国内取引とみなされ、販売者が消費税の納税義務を負います。年間約1.9億件の貨物を税関で課税するのは現実的でないため、輸入時の少額免税制度は維持されます。あわせて、個人使用貨物の課税価格を海外小売価格の6割とする特例は2028年3月末で廃止されます。

  • 1万円の判定は注文単位ではなく、販売する最小単位(単価)ごとに行います。送料は商品代金と明確に区分されている場合に限り含めません。
  • 国内事業者と同様に、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税義務が免除されます。
  • 課税事業者は「特定少額資産販売事業者」として登録することで、複数の商品をまとめて課税価格が1万円を超えた場合でも輸入時に二重課税されません。登録申請は2027年10月1日から可能で、登録した事業者には事業者免税点制度が適用されません。
  • 日本国内に事務所等を持たない国外事業者は、登録申請の際に消費税に関する税務代理権限証書を提出する必要があります。
  • 対象取引の合計額が50億円を超えるプラットフォーム事業者には、国外事業者が日本の倉庫から行う販売を含め、プラットフォーム経由の販売に係る納税義務が転換されます。

カナダ側の輸出申告(CBSA)は必要か

カナダ側では、カナダ国境サービス庁(CBSA)が、価額2,000カナダドル以上の商業貨物に輸出申告を求めています。これ未満の規制対象外の貨物(一般的な消費者向けの荷物の多く)は申告不要で、運送書類に申告不要(NDR)である旨を記載します。

日本の卸売業者や代理店へのまとまった出荷は、通常この基準を超えます。初回出荷の前に、事業者番号(BN)とRM輸出プログラム口座を取得し、CBSAが推奨するCanadian Export Reporting System(CERS)で申告します。出荷前に、申告番号(proof of report number)を運送業者へ伝える必要があります。

CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が効く場面

1万円以下の荷物はもともと関税がかからないため、協定の効果はほとんどありません。効いてくるのは、金額の大きい出荷や卸売です。カナダ政府(Global Affairs Canada)によると、CPTPPの発効と同時に冷凍ブルーベリー(最大9.6%)、アルミニウム製品(最大7.5%)、プラスチック製の管(4.8%)などのカナダ産品に対する日本の関税が撤廃され、牛肉の38.5%の関税は15年以内に9%へ引き下げられます。特恵税率を受けるには原産地規則を満たし、輸入者が原産地に関する書類を備える必要があります。

日本の消費者向けにストアで対応すべきルール

特定商取引法は、通信販売の広告に表示すべき事項を定めており、日本の消費者は「特定商取引法に基づく表記」のページでこれを確認します。送料を含む販売価格、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの撤回・解除や返品に関する事項、事業者の名称・住所・電話番号、法人の場合は代表者または通信販売業務の責任者の氏名、販売価格・送料以外に購入者が負担する金銭などです。国内に拠点のない事業者への適用は専門家に確認すべきですが、実務上、このページのないストアは日本の消費者には未完成に見えます。

特に注意が必要なのが返品です。返品特約を表示していない場合、通信販売の購入者は商品の引渡しから8日以内であれば、購入者の送料負担で契約を解除し返品できます。消費者庁は、インターネット通販では注文確定前の最終確認画面にも返品特約を表示するよう定めていると説明しています。

日本向け販売の3つの方法と選び方

2028年からのルールで、それぞれの方法の採算が変わります。適切な選択は、商品の価格帯、注文数、顧客との関係を自社で持ちたいかどうかで決まります。

  • 自社ECから直接発送:需要の検証や、1万円を超える商品を中程度の数量で販売する場合に適しています。2028年4月以降、日本向けの売上が1,000万円を超えたら、登録、税務代理人、円建て価格に含める消費税を見込んでおく必要があります。
  • 日本のマーケットプレイス:50億円基準が適用されるプラットフォームであれば消費税の納付を代わりに担い、消費者の信頼もすでにあります。一方で、利益率、ブランド表現、顧客データを手放すことになります。
  • 輸入業者や物流パートナーを通じた日本国内在庫:配送が最も速く返品対応も簡単ですが、まとめて輸入する際に関税・消費税を納める必要があり、日本側の取引先が必要です。

日本の消費者向けストア準備チェックリスト

日本向けストアの要件を整理する際に確認している項目です。ITLは日本の大規模コマースプラットフォームの開発をリードした経験があり、作業の多くはカナダ向けテンプレートではカバーされない細部にあります。

  • 円建てで価格を表示し、配達時に関税・消費税を誰が負担するかを明記する。2028年4月以降、課税事業者は1万円以下の商品にかかる消費税を価格設定に織り込む必要がある。
  • 請求書では商品ごとの単価と送料を分けて記載し、税関と自社の双方にとって1万円の判定を明確にする。
  • 日本語の「特定商取引法に基づく表記」を掲載し、注文確定前の最終確認画面にも返品条件を表示する。
  • 日本式の住所フォームにする(郵便番号を先に入力して住所を自動補完、都道府県、姓・名の順)。
  • 出品前に品目の制限を確認する。革製品やニット製衣類など免税対象外の品目は、少額でも関税がかかる。
  • 日本向け売上が1,000万円を超える見込みなら、登録申請の受付が始まる2027年10月1日をカレンダーに登録しておく。

著者

Jayson Hao

Innovation Trigger Lab創業者。トロント大学コンピュータサイエンス(AI/ML)出身。RAG、AIチャットボット、Web・モバイルプロダクトの設計と本番導入に携わっています。

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よくある質問

カナダからの注文に日本の購入者は輸入税を払いますか?

荷物の課税価格の合計額が1万円以下であれば、革製品やニット製衣類などの対象外品目を除き、かかりません。それを超える場合は、販売者が別途手配していない限り、輸入時に購入者が関税と消費税を支払います。

日本は少額輸入貨物の免税制度を廃止するのですか?

輸入時の免税は維持されます。2028年4月1日からは、海外から通信販売される1万円以下の商品が販売時点で課税され、販売者または大規模プラットフォームが消費税を納めます。個人使用貨物の課税価格を6割とする特例は2028年3月末で廃止されます。

小規模なカナダの事業者も日本の消費税の登録が必要ですか?

基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、国内事業者と同様に納税義務は免除されます。特定少額資産販売事業者の登録は課税事業者が選択するもので、2027年10月1日から申請できます。

CPTPPで日本向けの発送は関税ゼロになりますか?

原産地規則を満たせば多くの品目で関税は撤廃されていますが、牛肉のように最長15年かけて段階的に引き下げる品目もあります。1万円以下の小口貨物はもともと免税のため、協定の効果が大きいのはまとまった出荷です。

出典・参考資料

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  4. 4.
    通信販売|特定商取引法ガイドConsumer Affairs Agency, Japan
  5. 5.
    輸出者向け申告ガイド(Exporters' guide to reporting)Canada Border Services Agency, 2024年10月21日
  6. 6.
    CPTPPパートナー:日本Global Affairs Canada, 2023年8月28日