Skip to main content
Web・SEO

INP改善の進め方:実際のWebサイトでInteraction to Next Paintを直す手順

Search ConsoleでINPが「不良」と判定されたときの改善手順。実ユーザーのデータで遅い操作を特定し、3つのフェーズに分解して、原因に合った対策を選ぶ方法を解説します。

著者:Jayson Hao7 分で読めます
INP改善の進め方:実際のWebサイトでInteraction to Next Paintを直す手順をテーマにした紙と金属のエディトリアル作品
エディトリアル・フィールドノートITL / № 15

この記事のポイント

  • INPは実際のページ読み込みの75パーセンタイルで評価され、200ミリ秒以下が「良好」、500ミリ秒超が「不良」です。
  • 2025年7月のデータでは、INPが良好なサイトはモバイルで77%、デスクトップで97%。問題が出やすいのはモバイルです。
  • 遅い操作は入力遅延・処理時間・表示遅延の3つに分解でき、それぞれ対策が異なります。
  • Safari 26.2でEvent Timing APIが追加され、自社の計測でChrome以外のINPも測れるようになりました。

INPが測っているものと「良好」の基準

Interaction to Next Paint(INP)は、クリック、タップ、キー入力に対してページがどれだけ速く反応するかを測る指標です。ブラウザは操作ごとに、入力から次の画面描画までの時間を記録します。ホバー、スクロール、ズームは対象外です。多くのサイトでは最も遅い操作の値がそのページのINPになり、操作の多いページでは50回ごとに最も遅い1回が除外されるため、1回の外れ値でスコアが決まることはありません。

Googleの基準は、実ユーザーのページ読み込みの75パーセンタイルに対して、モバイルとデスクトップ別に適用されます。200ミリ秒以下が「良好」、200ミリ秒超〜500ミリ秒が「改善が必要」、500ミリ秒超が「不良」です。INPはFirst Input Delay(FID)の後継となる応答性のCore Web Vitalです。FIDは最初の操作でハンドラが動き出すまでの待ち時間しか測っていなかったため、FIDは楽に合格していたサイトがINPでは不合格になることがあります。

INPはSEOの順位に影響するのか

Googleは、検索で成功するために良好なCore Web Vitalsを達成することを強く推奨しており、Core Web Vitalsはほかのページエクスペリエンスの要素とともに、コアランキングシステムが評価しようとするものと一致すると説明しています。INPはLargest Contentful Paint(LCP)、Cumulative Layout Shift(CLS)と並ぶ3指標の1つです。実際には、INPを改善しても検索意図に合っていないページの順位は上がりませんが、反応の遅いページは順位にもコンバージョンにも不利に働きます。

主に2025年7月の計測に基づくHTTP ArchiveのWeb Almanac 2025によると、INPが良好なWebサイトはモバイルで77%(2024年の74%から上昇)、デスクトップでは97%でした。Core Web Vitals全体が良好なサイトは、モバイルで48%、デスクトップで56%にとどまります。不合格の場合、まず確認すべきはモバイルです。

ステップ1:実ユーザーのデータで遅い操作を見つける

INPはフィールド指標なので、ラボのスコアではなく実ユーザーのデータから始めます。RUM(リアルユーザーモニタリング)ツールを使えば、どのページのどの要素がクリックされたか、そのときページがどこまで読み込まれていたかまで分かるため、最も多くの手がかりが得られます。RUMがない場合はPageSpeed InsightsでChrome User Experience Report(CrUX)のフィールドデータを確認できますが、合否は分かっても原因となった操作まではほとんど分かりません。

これまでINPのRUMデータはほぼChromium系ブラウザからしか取得できませんでした。2025年12月リリースのSafari 26.2でEvent Timing APIが追加され、WebKitはこれによりINPの計測が可能になったと説明しています。iPhoneの利用者が多いサイトでは、計測ツールを更新し、SafariとChromeを比較してから問題の所在を判断しましょう。なお、CrUX、つまりGoogleが報告するスコアは引き続きChromeユーザーのデータです。

  • モバイルの75パーセンタイルでINPが不合格のページを、トラフィックまたは売上の順に並べる。
  • ページごとに、遅い値の原因となる要素と操作の種類を特定する。メニューの開閉、絞り込み、カート追加ボタン、フォーム入力がよくある例です。
  • 遅い操作がページの読み込み中に起きているかを記録する。読み込み中なら入力遅延が疑われます。
  • Chrome DevToolsでCPUスロットリングをかけ、読み込み中と読み込み後の両方でその操作を再現する。

ステップ2:遅い操作を3つのフェーズに分解する

操作の遅延時間は3つの合計です。入力遅延は、ユーザーの入力からイベントハンドラが動き出すまでの時間で、多くはメインスレッドがほかの処理で埋まっていることが原因です。処理時間は、イベントハンドラの実行にかかる時間です。表示遅延は、ハンドラの終了からブラウザが次のフレームを描画するまでの時間で、スタイル計算、レイアウト、ペイントが含まれます。

この分解が工程全体で最も重要な判断です。対策が重ならないためです。ユーザーがタップした時点で外部スクリプトの評価がまだ続いていたことが真の原因なら、クリックハンドラを書き直しても効果はありません。また、iframeはそれぞれ独自のメインスレッドを持つため、操作がどのフレームで起きたかも確認します。

判断の目安をシンプルにしておくと作業がぶれません。入力遅延が最も大きい場合、問題は操作そのものではなく、メインスレッドで同時に動いている別の処理であることが多いため、対策はスクリプトの読み込み方にあります。処理時間が最も大きい場合は、自社のイベントハンドラやコンポーネントのコードを直します。表示遅延が最も大きい場合は、操作後にページのどれだけが変化するか、DOMがどれだけ大きいかを確認します。2つのフェーズが同程度なら、変更コストの低い方から直し、再計測してから次に進みます。

ステップ3:遅いフェーズに合った対策を当てる

どのフェーズが大きいか分かれば、選択肢はすぐに絞れます。50ミリ秒を超えるタスクは「長いタスク」と呼ばれ、入力遅延や処理時間の問題の多くはこれが原因です。フェーズごとのGoogleの推奨は次のとおりです。

  • 入力遅延:起動時のスクリプトの読み込み・解析・評価を減らす。読み込み時に動く外部タグを遅延または削除し、大きなバンドルを分割し、ユーザーが操作しそうな時間帯に重い処理を走らせるタイマーを避けます。
  • 処理時間:イベントハンドラ内の処理を減らす。まず画面の更新だけを行い、計測、保存、再計算などはそれ以降のタスクに回します。
  • 処理時間:処理の区切りごとにメインスレッドへ制御を返す(yield)。scheduler.yield()はこのための専用APIで、続きの処理をほかの同種のタスクより先に実行します。Chrome・Edge 129、Firefox 142で対応していますがSafariは未対応のため、setTimeoutによるフォールバックを用意します。
  • 処理時間:レイアウトスラッシングを避ける。同じタスク内でスタイルを変更してからレイアウトの値を読み出すと発生します。
  • 表示遅延:DOMを小さく保ち、content-visibilityで画面外の要素の描画を省き、クライアント側での大量のHTML生成に注意する。ブラウザはサーバーからストリーミングされたHTMLのようには、これを分割して処理できません。

企業サイトでよくあるINPの問題

コーポレートサイトやECサイトでは、同じパターンが繰り返し見られます。以下は診断結果ではなく、自社の実データで確かめるための仮説として使ってください。

これらの問題の多くは、構築時ではなく公開後に持ち込まれます。マーケティング担当が新しいタグを入れる、プラグインがウィジェットを追加する、商品一覧が50件から2,000件に増える、といった変化です。だからこそINPは、サイトを構築した開発者だけでなく、本番サイトへの変更を承認する担当者が責任を持つべき指標です。

  • タグマネージャー、チャットウィジェット、同意バナー、A/Bテストのスクリプトが読み込み中に評価され、最初のタップで入力遅延として現れる。
  • モバイルメニューや絞り込みパネルの開閉のたびに大きなコンポーネントツリーが再描画され、処理時間として現れる。
  • クリックハンドラ内で、画面更新より先に計測イベントが同期的に送信されている。
  • 数千のDOMノードを持つカテゴリページや検索結果ページで、操作のたびに重いレイアウトとペイントが走る。
  • フォームの入力欄が、画面更新の後ではなく、キー入力のたびに検証・整形・保存を行っている。

改善できたかを確認する方法

ラボのテストで操作が速くなったことは確認できますが、重要なのはフィールドでの75パーセンタイルです。変更したページと操作のRUMデータを、デバイス別に追いかけます。フィールドデータは実際の訪問から蓄積されるため、PageSpeed InsightsやSearch Consoleへの反映はリリースから数週間かかると考えておきましょう。

Google自身も、INP改善の鍵は粘り強さだとしています。1つの遅い操作を直すと、次の遅い操作が見えてくることが多いからです。リリース前のチェックリストにINPの目標値を加え、外部スクリプトを追加したら必ず再確認します。改善を最も台無しにしやすいのがその変更だからです。

著者

Jayson Hao

Innovation Trigger Lab創業者。トロント大学コンピュータサイエンス(AI/ML)出身。RAG、AIチャットボット、Web・モバイルプロダクトの設計と本番導入に携わっています。

プロフィールを見る

よくある質問

INPの良い数値はどのくらいですか?

ページ読み込みの75パーセンタイルで200ミリ秒以下が「良好」です。200〜500ミリ秒は「改善が必要」、500ミリ秒超は「不良」です。

デスクトップは良好なのにモバイルだけINPが悪いのはなぜですか?

スマートフォンはCPUが遅いため、同じJavaScriptでも長いタスクになりやすいからです。Web Almanac 2025では、INPが良好なサイトはデスクトップで97%、モバイルでは77%でした。

INPにスクロールは含まれますか?

いいえ。INPが対象とするのはクリック、タップ、キー入力だけで、ホバー、スクロール、ズームは測定されません。ただし、スクロールのきっかけとなるタップやキー入力は対象になり得ます。

INPはFIDの後継ですか?

はい。GoogleはINPをFIDの後継指標と位置づけています。最初の操作の入力遅延だけを測っていたFIDと異なり、すべての操作と次の描画までの全時間を対象にしています。

出典・参考資料

  1. 1.
    Interaction to Next Paint(INP)web.dev (Google), 2025年9月2日
  2. 2.
    Interaction to Next Paintの最適化web.dev (Google), 2025年9月2日
  3. 3.
    長いタスクの最適化web.dev (Google), 2024年12月19日
  4. 4.
    Core Web VitalsとGoogle検索結果についてGoogle Search Central, 2025年12月10日
  5. 5.
    パフォーマンス|Web Almanac 2025HTTP Archive, 2026年1月15日
  6. 6.
    Safari 26.2のWebKit新機能WebKit, 2025年12月12日