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Webアクセシビリティ

AODAのWebサイト要件とは:オンタリオ州の企業に求められるWCAGレベルと対応手順

AODAのWebサイト要件の対象企業、法令がWCAG 2.0 AAを指定する理由、罰則の実態、2026年12月31日の報告期限までに確認すべき項目を解説します。

著者:Jayson Hao6 分で読めます
AODAのWebサイト要件とは:オンタリオ州の企業に求められるWCAGレベルと対応手順をテーマにした紙と金属のエディトリアル作品
エディトリアル・フィールドノートITL / № 23

この記事のポイント

  • WCAG要件の対象はオンタリオ州内の従業員50人以上の組織と指定公共機関で、規則が指定するのは現在もWCAG 2.0レベルAAです。
  • 実務ではWCAG 2.2 AAを目標にするのが安全です。W3Cは後方互換性を持たせて設計しており、削除された4.1.1の確認を続ければ2.0 AAの要件も満たせます。
  • 従業員20人以上の企業・非営利団体は、2026年12月31日までにアクセシビリティ遵守報告書を提出する必要があります。
  • 法人への行政罰は1件あたり500ドルから15,000ドルです。よく引用される10万ドルは、重大な違反を繰り返した場合に限られる1日あたりの上限額です。

自社のWebサイトはAODAの対象か

オンタリオ州障害者アクセシビリティ法(AODA、2005年)は目標を定める法律で、具体的なルールはオンタリオ州規則191/11(統合アクセシビリティ基準規則)に定められています。この規則は、州内に1人以上の従業員がいて商品・サービス・施設を提供するすべての組織に適用されます。ただしWebサイトに関する第14条の対象はより限定的で、州政府、州議会、市町村などの指定公共機関、そして規則上「大規模組織」と定義される州内従業員50人以上の組織です。

数えるのは全世界ではなくオンタリオ州内の従業員です。州内に60人の拠点を持つ日本企業や米国企業は大規模組織に該当し、従業員500人でもトロントに12人しかいなければ該当しません。義務を負うのはWebサイトを管理する組織で、直接管理でも、改修を指示できる契約による管理でも同じです。制作会社への外注やホスティング型プラットフォームの利用によって義務が移るわけではありません。

  • 州内従業員50人以上:公開WebサイトとコンテンツをWCAG 2.0 レベルAAに適合させ、複数年アクセシビリティ計画をWebサイトに掲載し、3年ごとに遵守報告書を提出する。
  • 20〜49人:WCAG要件はないが、アクセシビリティ方針、研修、求めに応じたアクセシブルな形式での提供、3年ごとの遵守報告書が必要。
  • 1〜19人:方針、研修、求めに応じたアクセシブルな形式での提供が必要。遵守報告書は不要。

AODAが求めるWCAGは2.0か、2.1か、2.2か

第14条が指定しているのは現在もWCAG 2.0 レベルAAで、定義も2008年12月付のW3C勧告を参照しています。規則は2026年に最終改正されていますが、この点は変わっていません。民間組織と広域公共部門には2つの達成基準の除外があり、1.2.4 キャプション(ライブ)と1.2.5 音声解説(収録済み)は対象外です。WCAGの適合要件では、レベルAAとはAAの基準だけでなく、レベルAとAAのすべての達成基準を満たすことを意味します。

AODAはWCAG 2.1や2.2を求めていると書く業者の記事も多く見られますが、法令にはそう書かれていません。一方で、新しいバージョンを基準に作ること自体は合理的な判断です。W3CはWCAG 2.2に後方互換性があり、2.2を満たすコンテンツは2.0と2.1も満たすとしています。ただし2.2では達成基準4.1.1(構文解析)が削除されており、旧バージョンに拘束される組織は引き続き4.1.1を確認・報告する必要がある場合があるとW3Cは注記しています。WCAG 2.2では9つの達成基準が追加され、そのうち6つがレベルAまたはAAです。ターゲットのサイズ(最低限)、フォーカスが隠されない(最低限)、ドラッグ操作、アクセシブルな認証(最低限)などが含まれます。

新規構築やリニューアルでは、契約書にWCAG 2.2 レベルAAを明記し、テスト計画に4.1.1を加え、AODA向けにはWCAG 2.0 AAへの適合を記録することをお勧めします。現行法を満たしつつ、将来州や大口顧客が基準を更新した場合の手戻りも防げます。

対象となるコンテンツと対象外のもの

対象は、組織が管理する公開Webサイトとそのコンテンツで、Webアプリケーションも含まれます。自社ドメインで動く顧客ポータル、予約フロー、ECのチェックアウトも対象です。2012年1月1日より前に公開されたコンテンツは対象外です。大規模組織に対するWCAG要件は公開Webサイトのみが対象のため、イントラネットやエクストラネットはWCAG適合を求められませんが、求めに応じてアクセシブルな形式で提供する一般的な義務は適用されます。

「実行可能でない場合」の例外もあります。組織は、市販のソフトウェアやツールが入手できるかどうかなどを考慮できます。また、変換が技術的に不可能な場合や変換技術が容易に入手できない場合、その情報は「変換不能」とされます。そうしたコンテンツのアクセシブルな形式を求められた場合は、変換できない理由を説明し、要約を提供しなければなりません。これは特定のコンテンツに対する限定的な例外であり、サイト全体を対応しない理由にはなりません。差し替えや設定変更ができる外部ウィジェットは、手間がかかるというだけでは「実行可能でない」に当たりません。

AODAの罰則:実際の金額

よく見かける「1日10万ドル」という数字は2か所に登場しますが、どちらも印象より限定的です。法第37条では、アクセシビリティ報告書への虚偽記載や局長命令への不服従などの犯罪で有罪となった法人に、違反が続く1日ごとに最大10万ドルの罰金が科されます。防止のための合理的な注意を怠った取締役・役員には1日最大5万ドルが科されます。

Webサイトの不適合のような規則違反では、通常は局長による是正命令が出され、行政罰が科されることがあります。規則の附則3は、違反の重大性と過去の違反歴に応じて法人への金額を定めており、違反歴が少ない軽微な違反の500ドルから、違反歴が多い重大な違反の15,000ドルまでです。影響と違反歴の両方が「重大」の場合に限り、局長は罰金を1日単位とし、最大10万ドルとすることができます。州の報告ページも、報告書を提出しないと罰金を含む措置の対象になり得ると警告しています。

つまり多くの企業にとって現実的なリスクは、突然の高額罰金よりも、期限付きの是正命令、サイトを利用できなかった顧客からの人権申立て、あるいは取引先の調達部門から適合証明を求められて出せないことです。

2026年12月31日の遵守報告書

従業員20人以上の企業・非営利団体は3年ごとにアクセシビリティ遵守報告書を提出し、今回の期限は2026年12月31日です。提出はオンタリオ州のAccessibility Compliance Reporting Portalで行い、登録またはサインイン後に「New Submission」を選び、「Accessibility Compliance Report」を選択します。指定公共機関は2年ごとの報告で、前回の期限は2025年12月31日でした。州は、2025年分を提出していない場合も提出が必要だとしています。

第37条は報告書への虚偽・誤解を招く記載を犯罪としているため、Webサイトに関する質問に記憶だけで回答するのは避けましょう。まず次の監査を行い、何をいつ確認したかを記録してから提出します。

AODA対応のためのWebサイト監査チェックリスト

多くの不備は基本的なものです。2026年2月に上位100万サイトのトップページを自動検査した「WebAIM Million 2026」では、95.9%のページでWCAG 2の不適合が検出され、1ページあたりの平均エラー数は56.1件でした。検出エラーの96%は6種類に集中しています。低コントラストのテキスト(83.9%のページ)、画像の代替テキストの欠如(53.1%)、フォームのラベル欠如(51%)、空のリンク(46.3%)、空のボタン(30.6%)、文書の言語指定の欠如(13.5%)です。テンプレートでこの6つを直せば、自動ツールで見つかる問題の大半は解消します。残りは人による確認が必要で、代替テキストが内容を適切に表しているか、キーボードだけでフォームを完了できるかは自動ツールでは判断できません。

  • すべてのテンプレートとフローを洗い出す:トップ、サービス・商品ページ、問い合わせ・見積フォーム、予約・購入フロー、会員ページ、埋め込みの外部ウィジェット。
  • 各テンプレートを自動チェッカーで検査し、コントラスト、代替テキスト、ラベル、空のリンクとボタン、lang属性(翻訳ページのlang="fr"やlang="ja"を含む)を修正する。
  • 主要フローをキーボードだけで完了できるか確認し、続いてNVDAやVoiceOverなどのスクリーンリーダーで操作し、フォーカスが見失われたり固定ヘッダーやCookieバナーに隠れたりする箇所を記録する。
  • 動画の字幕、PDFのタグ付け構造またはHTML版の有無、入力エラー時に修正方法を説明するテキストがあるかを確認する。
  • 各ウィジェットの提供元に適合レポートを求め、不適合のコンポーネントは差し替えるか設定を変更する。
  • 複数年計画(50人以上の場合)、フィードバック窓口、アクセシブルな形式の依頼方法を記載したアクセシビリティページを公開し、リリース工程にアクセシビリティ確認を組み込んで、新しいページで同じエラーが再発しないようにする。

日本の顧客にもサービスを提供している場合

英語・日本語のバイリンガルサイトを運営する企業にとっては、日本側でも同様の変化があります。改正障害者差別解消法は2024年4月1日に施行され、内閣府は事業者による合理的配慮の提供が義務化されたと案内しています。WCAG 2.2 AAを基準に構築し、各言語版に正しいlang属性を設定すれば、2つの市場に別々のルールを持たず、1つの基準で対応できます。

著者

Jayson Hao

Innovation Trigger Lab創業者。トロント大学コンピュータサイエンス(AI/ML)出身。RAG、AIチャットボット、Web・モバイルプロダクトの設計と本番導入に携わっています。

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よくある質問

AODAはWCAG 2.1や2.2を求めていますか?

いいえ。オンタリオ州規則191/11が指定するのはWCAG 2.0 レベルAA(達成基準1.2.4と1.2.5を除く)です。W3CはWCAG 2.2に後方互換性を持たせているため、4.1.1の確認を続ければ2.2 AAで構築しても要件を満たします。

小規模企業のWebサイトもAODAの対象ですか?

WCAG要件の対象は、州内従業員50人以上の組織と指定公共機関のみです。それより小さい組織も、求められればアクセシブルな形式で情報を提供する必要があり、従業員20人以上であれば遵守報告書の提出も必要です。

ShopifyやWixのサイトはコードを管理していないので対象外ですか?

一般的には対象外になりません。直接、または改修を指示できる契約を通じて管理するWebサイトが対象で、テーマ、アプリ、コンテンツを選ぶのは自社です。アクセシブルなテーマやアプリを選び、提供元に適合情報を求めましょう。

次のAODA遵守報告書の期限はいつですか?

従業員20人以上の企業・非営利団体は2026年12月31日です。報告書は3年ごとに、オンタリオ州のAccessibility Compliance Reporting Portalから提出します。

出典・参考資料

  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.
    アクセシビリティ遵守報告書の作成Government of Ontario, 2026年2月19日
  4. 4.
  5. 5.
  6. 6.